出雲フィル第15回定期 マエストロからのメッセージ


みなさん、こんにちは。
 
エストロがお届けする、出雲フィル第15回定期のメッセージ。
チラシにも掲載している内容ですが、多くの方に届けたいということでここでご紹介します。
毎回、聴きどころをお伝えしているこのチラシ裏。
エストロの熱い思いが伝わってきます。
 
音楽を聴くのには大きく2つの姿勢があると言えます。
ごく大ざっぱに表現すると、「リラックスして聴く」のと「考えながら聴く」という2つ。
 
音楽にはコトバがあってもなくても、音によるメッセージです。
それをその場でそのまま「感じる」「ふれる」というスタイル。
 
一方、作品に込められた作曲家によるメッセージや背景をもう少し具体的に知る。
それによって「考える」とともに「感じる」という聴き方もあります。
 
そのどちらでもOK♪
ただ、ちょっとでも「知っておきたい」方のために、そういったことを演奏会のチラシ裏やプログラム、トークでお伝えしています。
 
もちろん「知っておきたいこと」は何も作品に限らず、演奏者に関するコトの場合だってありますよね。
「どんな団体?」「どこで経験してきた指揮者?」「どんな受賞歴のあるソリスト?」とかそれこそイロイロ。
 
クラシック音楽はむずかしい」
そんな方には、ぜひこの「ちょっと知っておく」というのは実はオススメです。
「そういうことだったのね〜」という「発見」や「感動」につながるからです。
 
もちろん「クラシック音楽が好き」
こんな方にとってもこのようなエッセンスやスパイスにより、名曲があなたにとってさらに「深い名曲」になるでしょう。
 
「いやいや。ただ音を楽しみたい」という方。
読み飛ばしてもらってもちろんOKです♪
出雲フィルの今回のプログラムについて言っても、ノリノリなところが多いだけでなく、情景描写が多い曲ですので、きっとお楽しみいただけます。
  
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 「秋は家族でコンサート」のキャッチで親しまれている11月定期・プロムナード シリーズ。国や地域ごとにオーケストラの名曲を堪能する「トラベルアワー」も今回で8回目を迎え、ついに《イギリス・アメリカ編》が巡ってきました。
 さすが吹奏楽・ウィンドオーケストラの分野で世界の最先端を行く英米。弦楽器の厚い響きに乗せられた管楽器と打楽器の華やかなサウンドは、聴く者を圧倒します。建国以来、音楽文化面で遅れを取っていたアメリカは1892年、ニューヨーク・ナショナル音楽院の院長にドヴォルジャークを招聘。クラシックの伝統的な作曲技法に土着の先住民音楽や黒人霊歌を融合させた斬新な作曲法はアメリカの作曲家たちに大きな影響を与えました。
 今回プロムナードでお届けするのは――ブロードウェイで活躍しジャズの感覚と技法をクラシック音楽に取り入れたガーシュウィンの代表作《パリのアメリカ人》。ジャズやアメリカ民謡などの要素を取り入れ、明快な作風で米国バレエ音楽の第一人者と称されたコープランドバレエ音楽《ロデオ〜カウボーイの休日》。「最後のロマンティスト」との評されるほど美しく哀愁に満ちた旋律で聴く者を魅了するバーバーの《弦楽のためのアダージョ》。指揮者であり、作曲家であり、ピアニスト、教育者としても知られた奇才・バーンスタインの代表作《キャンディード〜序曲》。ウェストサイド物語の中からダンスの名曲ばかりを集めた《シンフォニック・ダンス》――の5曲。いずれも生では滅多に聴くことができない珠玉の名曲ぞろいです。
 また、オープニングでは総勢100名にのぼるジュニアオーケストラが出演し、エルガーの《威風堂々》、ホルスト組曲《惑星〜火星・木星》など、イギリス人作曲家の名作をお届けします。
 華やかで美しい迫力満点のイギリス・アメリカ音楽を体感できる今回の出雲フィル・プロムナード。どうぞお聴き逃しなく!

 
出雲フィルハーモニー交響楽団
音楽監督・指揮者
中井章徳